2017年10月01日

幼児音楽教育について:日本の「童謡」でリズム感を学べるか?

新刊、「童謡を聞くだけで音感が身につくCDブック 」について、子育て中の母親軍団?からの質問や疑問、あるいは、誤読と先入観から来る批評に対して、簡単に触れておきます。


一つ一つの意見に答えるのは、大変なので、ここでは、先入観から誤読している意見や、根本的な幼児教育問題に触れているものを取り上げてみます。


まず、Amazonレビューにある評で、「CDの曲が童謡より唱歌の割合が多いので、」という事実と異なる意見に対して、これは、事実と違う事を洗脳する、という形になっています。


無頓着に決めつけたかもしれませんが、こうしたレトリックは、故意に事実を捻じ曲げた「レッテル貼り(ラベル貼り)」で、一歩間違えば、悪意として捉えれられます。

これは、高度な洗脳技術、として、詐欺師がよく使う洗脳テクニックでもあるので、この決めつけ文は、訂正しておかないといけません。



5つ星のうち3.0大人(自分)にはよかったのですが・・
投稿者woodendoll2017年9月10日




『子どもが音感を身につけるのに役立てばと期待を込めて購入。
階名唱法(ドレミで歌う)が音感を磨くのに効果的、付属CDを聞くだけでもも効果があるとのこと。
自分は繰り返しきいて、簡単な曲の音階がわかるようになったと感じましたが、CDの曲が童謡より唱歌の割合が多いので、まだ小さいうちの子どもは退屈そうで反応がなく・・。
普通の童謡CDの方が歌ったり手拍子したり反応がいいので、結局そちらを一緒にきいています。
残念ながら現在のうちの子には、向きませんでした。』


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*出典:


https://www.amazon.co.jp/%E7%AB%A5%E8%AC%A1%E3%82%92%E8%81%9E%E3%81%8F%E3%81%A0%E3%81%91%E3%81%A7%E9%9F%B3%E6%84%9F%E3%81%8C%E8%BA%AB%E3%81%AB%E3%81%A4%E3%81%8FCD%E3%83%96%E3%83%83%E3%82%AF-%E3%83%A1%E3%83%AD%E3%83%87%E3%82%A3%E3%81%8C%E3%83%89%E3%83%AC%E3%83%9F%E3%81%A7%E8%81%9E%E3%81%93%E3%81%88%E3%82%8B%E3%82%88%E3%81%86%E3%81%AB%E3%81%AA%E3%82%8B-CD%E4%BB%98-%E5%8F%8B%E5%AF%84-%E9%9A%86%E5%93%89/product-reviews/4845630737/ref=cm_cr_dp_d_hist_3?ie=UTF8&filterByStar=three_star&reviewerType=all_reviews#reviews-filter-bar



この新刊に収録した曲は、全20曲です。


おそらく、「子どもが好き=童謡」「大人が好き=唱歌」という決めつけがあるのだと思います。

なぜなら、そう考えるとつじつまが合う、レッテル貼り(決めつけ)です。

本書のテキストの定義に従えば、「日本政府、文部省発行の曲は、文部省唱歌」になり、「民間の童謡、童話といった子どもの雑誌から誕生した曲は、童謡」という事になります。

また、「唱歌」の定義として、文部省が作詞作曲者を明かさずに依頼して作られている、という点も上げられます。

「童謡」は、こうした「唱歌」に対抗して50年?(明治→大正)ばかり経ってから、民間の雑誌から生まれていますが、すでに古くから作者不詳で存在し、歌い継がれて来た「わらべ唄」も童謡のカテゴリーになります。


ざっと、CD収録曲の20曲を見て分類して見ます。

また、テキストで扱っている曲もCD収録曲も同じ曲である、という事も改めて強調して置きます。テキストにはなく、CDだけに特別に収録している曲はありません。


1:ふじの山(唱歌)

2:うさぎとかめ(唱歌)

3:どんぐりころころ(唱歌)

4:春よ来い(童謡)

5:春が来た(唱歌)

6:うさぎうさぎ(童謡:わらべ唄)

7:背くらべ(童謡)

8:茶摘み(唱歌)

9:故郷(唱歌)

10:あめふり(童謡)

11:雨(童謡)

12:しゃぼん玉(童謡)

13:さくらさくら(童謡:わらべ唄)

14:荒城の月(唱歌)

15:紅葉(唱歌)

16:浜辺の歌(童謡:成田為三作曲)

17:七つの子(童謡)

18:叱られて(童謡)

19:赤とんぼ(童謡)

20:てぃんさぐの花(童謡:わらべ唄)


以上のチェックを元に並べ替えて見ましょう。


童謡:


01:春よ来い(童謡)
02:うさぎうさぎ(童謡:わらべ唄)
03:背くらべ(童謡)
04:あめふり(童謡)
05:雨(童謡)
06:しゃぼん玉(童謡)
07:さくらさくら(童謡:わらべ唄)
08:浜辺の歌(童謡:成田為三作曲)
09:七つの子(童謡)
10:叱られて(童謡)
11:赤とんぼ(童謡)
12:てぃんさぐの花(童謡:わらべ唄)


唱歌


01:ふじの山(唱歌)
02:うさぎとかめ(唱歌)
03:どんぐりころころ(唱歌)
04:春が来た(唱歌)
05:茶摘み(唱歌)
06:故郷(唱歌)
07:荒城の月(唱歌)
08:紅葉(唱歌)



以上の結果、本書では、童謡が少ないどころか、20曲中、12曲あります。残り8曲が唱歌ですから、けっして、本書は、唱歌の多い本ではありません。

直接、Amazonレビューへ、回答したい気持ちもありますが、Amazonの狙いは、レビューの2チャンネル化といった”炎上商法”狙いが、会社の秘かな方針だと言うので、なら直接、炎上貢献?には加担しないためにも、こうしたブログで回答して置きます。

本当は、本は、その地域、地域の本屋さんで買って、サッカーチーム支援のように自分の地域の本屋さんを盛り上げて欲しい、とは思いますから、、。


* 2015年 05月 23日
Amazonの公式見解!Amazonレビューは商品に関係なく著者や企業の批判を書いてもいいそうです!



http://kasakoblog.exblog.jp/23152114/


*Amazon.comの論争

https://ja.wikipedia.org/wiki/Amazon.com%E3%81%AE%E8%AB%96%E4%BA%89


不況な出版業界にとっては、Amazonは、逆らってはいけない宣伝広告媒体なのですが、実際に被害をこうむるのは、理不尽な洗脳レビューで、著書が誤解されたまま、伝えられる著者です。

今回の場合は、「あの本は、童謡は少ないらしいよ!」と、ママ友の間に広がる事です。

自分の子どもが興味を示さない、というのは、個人的な「事実報告」ですから、かまわないと思います。

しかし、「童謡」か「唱歌」かの問題は、さらに入り組み、たとえば、「どんぐりころころ」は、唱歌として広まりましたが、言語学者の金田一春彦氏は、「日本三大童謡」として挙げていたりします。

また、その歌詞から、唱歌というよりは、かなり童謡よりな歌詞であることもわかります。

これを童謡と捉えると、本書は、童謡が13曲、唱歌が7曲、という事になります。

さらに唱歌の「ふじの山」に言及すれば、この曲を階名唱法で覚えた子どもは、私の小学校時代(昭和40年代~)は、かなり多く、また、CDの冒頭、第1曲目にあることからか、現在、5歳の息子は、まず、この曲の階名唱法と歌詞を最初に覚えて、何度も歌っています。

この点からも、本書付録のCDが、童謡が少なく、唱歌が多いので、子どもには、向かない、とは言えません。

しかし、この点は、「残念ながら現在のうちの子には、向きませんでした。」という感想は、個人的な感想なので、それは有り、だと思います。

また、「普通の童謡CDの方が歌ったり手拍子したり反応がいいので、結局そちらを一緒にきいています。」とコメントしていますが、本書は、子どもが童謡で”リズム感”を身に付ける”、ということも含めての本という事をアピールすることを外しています。


私は、「日本人とリズム感」に関しての著者でもある人間ですので、「童謡を通じてリズム感までマスターできる!」という謳い文句を付ける事を拒否、否定している側の人間です。






日本の童謡で学べるリズム感は、「日本語のリズム」程度のもので、けっして、世界で通用する「音楽的なリズム感」ではないからです。

なぜなら、「リズム感」は、その国の言語リズムも影響しているからです。

この問題に関しては、自著の「日本人のためのリズム感トレーニング理論」を参照して下さい。

こうした問題も含めて、安易に、「童謡でリズム感をマスターする」という事に関しては、反対論者です。

それは、日本語のリズム感で、けっして、世界には、通用しないリズム感だからです。

もちろん、邦楽をやるだけの人生なら、日本の童謡からリズムを学ぶのは、それはそれで正解です。
日本語のリズムだからです。

そのため、私が、この本で強調したのは、メロディの音程はもちろんですが、日本人が、リズム感の他に、さらに世界に劣る、「ハーモニー感」の養成に重きを置いているため、CDの童謡伴奏は、ブラジルのボサノバ、アメリカのジャズ、クラシックをさらに進化させた現代音楽などの近代ハーモニーを参考に伴奏付けしています。

この事に関しては、下記の関連ブログ記事も参照して下さい。



*質問メール


【メッセージ】
はじめまして
勝手ながら、お話し聞いて欲しくてメールしました。

童謡の歴史は興味深く、理解出来ました。曲の選択も装丁も素晴らしく、平日20分車内で4才の男児とCDを聴いています。

ただ、音楽用語わからない。
例えばc,Am7はギターコードらしいが、これで他の人は演奏出来るのかわからない。
ハ長調もヘ長調も、文字が上滑りして、理解出来ない。ペーパーテストをすれば、説明出来るが、明日には忘れてしまう。義務教育中と同じ。ネットで用語調べてみるが、実感出来ないのです。

たまに本の説明を読み、●が上下してるなあとみて音感鍛えようとしてますが、こんな感じで、歌が上達するのでしょうか。

夫は声がかん高くて、嫌だと拒否。男性ボーカル曲やレディー・ガガが好きな私も苦手ですが、子どもに聞かせたいので、頑張ってます。

夫も私もリズム感なく、音感も良くない。ちなみに両家祖母は誰もが認める音痴。そのうち、音痴な子どもを音楽教室に入れたいが、それまでに出来ることはないか日々考えています。

もし、よき活用方法有れば 教えて下さると助かります。

以上、乱筆乱文お許し下さい。



回答:


この質問文は、Amazonレビューへ投稿し、公表したものでない密室メールという事で、私のところに回って来ましたが一度、編集部に回しています。

個人的には、今回の本は、一般対象を意識した本なので、個々の質問をいちいち、あえて取り上げませんが、ここには、幼児教育の本質が端的に現れてると思います。

「両親の好みで、我が子を教育すべきか?」という問題です。

CDの歌手のオペラ調の高い声が嫌い、レディーガガが好き、という両親の嗜好はあると思います。

しかし、そうした嗜好を持ちながら、一族?全員が「夫も私もリズム感なく、音感も良くない。ちなみに両家祖母は誰もが認める音痴。」という事ですから。


要は、我が子を自分のような人間にすべきか、そうでないか?ということではないでしょうか?。

自分のようにしたかったら、自分の嗜好を真似させればいいし、自分のようにしたくなかったら、自分を反面教師として、自分がやらなかったことをさせればいいんじゃないでしょうか?。

しかし、自分ができないことばかりを、ガミガミ言うのが、これまでの教育パターンではあります。

「勉強しなさい!」という教育ママ?パターン。

しかしまた、自分ができることばかりを要求する、優秀?な両親のパターンもあります。

医者の子ども?

どちらが、成功確率が高いでしょうか?

よく東大生が、「両親から勉強しなさい!」って言われた事は一度もありませんでした、というコメントをしています。

また、教育のゴールが、東大か、医師か、という事が正しいかはわかりません。

こうした事から、どうしたらいいか、何が正しいか簡単には、わかりません。


私から言える事は、この本は、聞くだけでいいCDですから、とりあえず、何かにつけ、聞いたらいいです。

あっ、しかし、レディーガガが好きで、こんなオペラ調の歌い方は、自分も旦那も嫌いなんですよね?

でも、前述しましたが、この場合は、音楽ですが、これが「数学」なら、「旦那も私も数学が大嫌いです。」ということにならないでしょうか?

音楽も一つの”学問”と考えると、ですね。

コード名がよくわからない問題は、いつか、息子さん?がギターを弾くようになった時、教えて貰って下さい。

個人的には、自分がすべて正しいと、思っていないわけですから、試行錯誤しながら、子育てするのは、正しいんじゃないか、とは思いますけど、、、、。

環境遺伝学的には、子どもは、なかなか親には似ません。

ビートルズだって、親がミュージシャンだった、というわけではないですし。

ただ、親の役目として、致命的な親の欠点(音痴)は、あまり子どもには伝えないようにした方がいいとは思います。

子どもが物心ついて、何かを目指そうとした時、親のせいで、音痴で、音楽を断念したり、あるいは運動音痴で、スポーツを断念したり、頭を使う勉強も断念したり、親に似て短気だったり、、喘息だったり、、。

こうした能力や性格は、金銭的な問題ではないと思います。

貧しい環境から出て来た歌手やミュージシャンもたくさんいますから。

ただ、両親も、両家の祖母も、子どもが幼児の内は、絶対に歌は歌はない方がいいと思います。





*関連ブログ:




*新刊「童謡を聞くだけで音感が身に付くCDブック」の初ゴキブリ1匹捕獲とプロファイリング


http://sunpowermusic.ti-da.net/d2017-09-28.html







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