2016年01月08日

「大人のための音感トレーニング本」をやっても効果ないのですが?

「大人のための音感トレーニング本」に関して、姓だけを名乗ったN川さんからの質問メールが来ました。


質問:


『初めまして、新年早々から失礼いたします。
**と申します。

先生の著書、「大人のための音感トレーニング」
を使ったトレーニングを始めて2か月になります。

まだ2か月、と思われるかもしれませんが
まだ、具体的な成果を出せずにいて、正直焦っています。

やり方が間違っているのか、何がいけないのか、と自分を責めてしまいます。

今、自分は毎日欠かさず、「鍵盤と一緒に歌ってメロディを記憶→スキャットでマスター→音程譜を使って再現」という、本で書かれている通りのメニューでやっていますが、間違っていますでしょうか・・・。
人により個人差は出ると思いますが、大体どれくらいで効果が出るのでしょうか。

音がどれだけ離れているかまだまだわからず耳コピなどをしていても従来通り高いか低いかくらいでしか音楽を判別できません。
どのような過程で身につくものなのでしょうか?

支離滅裂な質問になってしまい申し訳ありません。返答いただけるとありがたいです。』


回答:


名前も含めて、情報があまりにも少ないので、的確な答えは、ちょっと難しいとは思います。

男性なのか、女性なのかもわかりませんし、、、。

女性でもたまに「自分は、、、」といるかもしれません。(女性でも「オレ」と言う人は、よくいます!)

たとえば、**の県、あるいは、**府の**という市の**という町に生まれた者です、という事がわかれば、ああ、それなら、たぶん、その土地だと、これが原因でしょう、と言えます。

また、年齢も不詳なので、定年後の趣味で音楽をやっている者なのか?、あるいは、すでに老人ホームに入居していて、どうしても、夢だった音感を身に付けたい、という御老人なのか?

いやいや、ひょっとしたら、中学生くらいなのか?

何言ってるんだ!最近の小学生を舐めたらいかんぞ!という人もいるので、え~!じゃあ、小学生?

とにかく、謎だらけです。

一体、音楽歴はどれくらいなのか?

音感とかの能力習得以前に、そもそも音痴ではないのか?

これらは、何かを診断するためには、絶対必要な個人情報です。

現在の体脂肪は?とか、BMIは?体重は?身長は?、、とかです。

これを知らないで、「どうしたらバスケットが上手くなるのでしょうか?」と言った質問には答えられません。

ひょっとしたら、2m以上あるかもしれませんし、ひょっとしたら、160cm台かもしれません。

両者へのアドバイスは、当然違うでしょう。

ひょっとしたら、自分の情報を伝える、という事よりも、著者の私に関しての情報もほとんど知らないのかも知れません。

しょうがないので、質問の文面だけで、何とか答えられる範囲だけを答えて見たいと思います。

限られた情報で、プロファイリングするしかありません。


まず、『まだ2か月、と思われるかもしれませんがまだ、具体的な成果を出せずにいて、正直焦っています。』とあります。

この事からわかる事は、「この人は、あまり修行事に慣れていないな。特に、語学系に関してはさっぱりだろうな」という事がわかります。

なぜなら、一体、この世の中で、2ヶ月くらいのトレーニングで成果が出る事って何があるだろう、と考えてしまいます。

求人雑誌で見つけた”バイト”くらいじゃないでしょうか。

医者や弁護士にはなれないでしょう。

でも、”ミュージシャン”になら成れる、と思っているのかもしれませんね。

確かに、世の中には、「1週間で**ができる」シリーズが蔓延しています。

1週間で、英会話ができる、とか、1週間で、痩せる、とかです。

そんな世界の中で、2ヶ月もあれば、その8倍ですから、けっこうな成果が出るのではないか、と思うのも仕方ありません。

しかし、テストの一夜漬けの知識ではありませんが、永久に保持する能力を修得する、というのは、語学も含め、そんなに簡単な事ではありません。

音楽をやっている人間にとって、「音感」能力を保持するって、究極ではないですか?

ないですか?と言いましたが、もしも、相手が小学生なら、敬語はおかしいかな、と思ったりはします。

これまで、何か練習してできた事ってありますか?

もし、それがあったとしたら、それは、どういう風にできましたか?

音楽の世界で言えば、特に、クラシックの曲なんかを練習している人なんかは、よくわかると思いますが、毎日、毎日、練習してもなかなかできなかった曲の箇所とかが、「ああ、もうダメだ」と思って諦めると、翌日、急にできていたりします。

これは、もちろん、毎日、ちゃんと練習した結果に起る現象です。

でも、これはアウトプットの世界です。

今、質問者が、している事は、インプット能力の事ですよね。

これは、物事の“判別能力”ですね。

語学で言えば、「リスニング」がなかなかできない、とかですね。

アウトプットは、会話や作文です。

だから、インプット能力は、リスニングや文章を読んだりする読解能力とかですね。

音声的な面から言えば、やはり、インプット能力は、リスニング力ですね。

音を聴いて、これを音程で判別する能力ですから、リスニング力ですよね?


これが、2ヶ月もやっているのに身に付かない、と言っているわけですよね?

やっぱり、この質問だと、“振出しに戻る”と言う事で、この文章の冒頭に戻り、あまりにも、質問者の情報が少ないわけです。

わかったのは、姓だけです。

もしも、あなたが、歌が上手であれば、聴いたフレーズを「音程名」はわからなくても、実際の歌で、歌って再現できますよね?

つまり、それができないって事は、歌は、”かなり”上手くない、、、って事が一つあります。

歌が上手い、、の意味は、普通に歌手並みの上手さ、とかではなくて、単純に、ある程度、音程がいいって事です。

もしも、あなたが、聴いたフレーズをそのまま、歌でなら再現できる、というなら、これは、かなりの問題がクリアーされています。

これは、記憶力も関係しているからです。

そのフレーズの「保存」能力ですね。

その歌を音程分析すればいいわけです。

また、こういう事も言ってますね。

『今、自分は毎日欠かさず、「鍵盤と一緒に歌ってメロディを記憶→スキャットでマスター→音程譜を使って再現」』


これは、アウトプットの練習ですよね。

自分が正確に正しい音程で歌えるか、、のトレーニングです。


でもあなたの悩みは、『音がどれだけ離れているかまだまだわからず耳コピなどをしていても従来通り高いか低いかくらいでしか音楽を判別できません。
どのような過程で身につくものなのでしょうか?』、という事ですよね?


これは、前述したように、インプット能力です。

物事の判別能力です。

語学で言えばリスニング力です。

正しい発音はできるけど、リスニング力に自信がない、という症状です。

よく、語学の本で、「正しい発音をマスターすれば、リスニング能力が上がる!」とかいう謳い文句がありますが、あれは嘘です。

世の中には、とんでもない”正しくない発音”なのに、ちゃんと、相手の言う事を”正しく”リスニングして、”正しくない発音”で、受け答えしている語学の達人たちもたくさんいます。

この事は、アウトプット能力とインプット能力は別だ、という事です。

作曲家や指揮者、演奏家の中には、歌うと「トンデモない」人たちもたくさんいます。

しかし、彼らは、インプット能力に長けているわけです。

アウトプット能力は、喉の筋肉をいかに脳の指令通りにコントロールできるか、といった、“筋肉運動”ですから。

私の本には、付属のCDがあるはずです。

教則本のCDを真面目に毎日、聴く人は“稀”ですが、これを毎日、聴いて、音をクイズマニアのように当てて下さい。

第1弾の本や第2弾の本のCDを徹底して、毎日、聴くといいです。

聴きながら、その音程を当てて下さい。

それに加えて、第1弾の本や第2弾の本にもありますが、誰か友達に、音程クイズを出して貰って、それを当てて下さい。

「この音程なんだと思う?」と言って鍵盤を弾いて貰うわけです。

そういう友達がいない、という人は、自分自身で、そう言った問題を作った録音物を利用してもかまいません。

自分で、音程を弾いて、その後に答えを録音するわけです。「長3度下でした~」とかです。

また、私の新刊の「大人のための作曲入門本」にも音程のアウトプットトレーニングがあります。

このCDも良く聴いて、音程やその階名を当てて下さい。

世の中の学習者は、本当に、「聴く!」という事が苦手な人ばかりです。

語学学習なんか、本来、1000回くらい聴いてから、発音するべきなんですけど、とにかく、みんな、あまり聴かないで、すぐに真似ようとするわけです。

これでは、「耳」は作られません。

ダメな生徒の典型的な例は、私が、「こうして弾くんだ!」と模範プレイを示しているのに、同時に自分も持っている楽器を何かしら弾いていたりします。

それくらい聴かないんですね。

「見る」という行為も同じなんですが。

「文章」を書く人は、よく読んでいます。

というわけで、まずは、そういう事で1年くらい試して見て下さい。


それでもダメであれば、いずれ、「音感セミナー」を通信で開く機会があるかもしれません。

その時は、ぜひ参加して見て下さい。


がんばって下さい。
























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Posted by TOMOYOSE TAKAYA at 00:00 │修行&音楽自著本